平成14 (2002) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨2002年10月11日 (金) 15時54分 Web 掲示板投稿

 

  

 来週のコロキウムのテーマは、「美容整形」についてです。

 「美容整形」という言葉を聞いたことがない人はきっといないでしょう。現在、化粧やピアス、パーマなど身体の一部を変形したり加工するような変身は世の中に溢れています。なのにどうして美容整形はタブーなのでしょうか?
 しかし、雑誌、新聞、テレビなどで頻繁に見られる宣伝、ついには「プチ整形」というものまでうまれ、身体を飾ったりケアすること、メスを入れて変身することの間にある深い溝を人々は、易々と越える始めています。
 なぜ、人々は美容整形をするのでしょうか?
 この美容整形を流行ととらえていいのでしょうか?
 だとすれば、どうして今、美容整形がここまで流行っているのでしょうか?

 第1回目の討論、みなさんハリキッテいきましょう!

 

 

 



発表報告2002年10月29日 (火) 15時00分 Web 掲示板投稿

 

 

文化論コロキウム IV 報告書
テーマ 「美容整形」
発表日 10月17日(木)14:45〜16:15(G41にて)
発表者 木村佳世 佐々木絵里奈 佐藤徳洸 本宮未樹
指導教官 佐竹正一

参加者24人、配布資料一人1部、パワーポイント中心の発表

 

レジュメ・パワーポイント要約

 1. 形成外科
 美容整形は形成外科の対象である。形成外科の歴史は古代インドまでさかのぼり、第一次世界大戦により多くの負傷者の治療を通じて現代形成外科の基礎を作り上げていく。日本には、明治維新による西欧化の時期、オランダやドイツの医学を手本として近代医学が根を下ろし、1975年に形成外科、1978年には美容外科が標榜科となった。現在の諸外国事情としては、アメリカではリストラ回避策として男性の手術が増えている。韓国では、ここ2,3年で患者の数は倍増し、美容整形はファッション化してきている。

 

 2. 日本の現在の美容整形事情
 美容整形を行う病院数が10年前に比べて2〜2.5倍に増えた。1987年頃から男性は見る立場から見られる立場にもなり、90年代は「清潔志向」として顔の手入れに関心が高まり、21世紀に入ると男性のメイクアップ願望が顕在化し始め、最近では美容整形を受ける男性の割合が増えてきている。また、プチ整形が流行っている。それは料金が普通に美容整形するよりも安く、施術時間が短く、施術当日から普通の生活が送ることができ、仕上がりがナチュラルだからである。手術を行った人々の体験談として、「よかった」人は、自分の思い通りに行き満足しているや、前もって十分にカウンセリングを受けていたという意見で、「悪かった」人は、思い通りに行かなかったや、事前によく説明を受けなかったという意見が見られた。

 

 3. 美人の定義
 美容整形がテレビ番組で取り上げられることが多くなった。また、これまで美容外科のテレビCMの主役は人間ではなく大半が犬や猫であったが、現在はタレントを起用するなどし、暗いイメージを払拭するようにしている。日本人の女性の間には肥満意識が根強くあり、「やせている方が美しい」と多くの人が考えている。顔に関しては、高度経済成長の頃から「東洋人西洋人の混血の顔」が理想と考えられようになり、「二重の目、高い鼻、逆三角のあご」が憧れとなった。しかし、いつの頃からか、「日本人らしい自然の美」を追求するようになっていった。

 

 4. 論点に対する答え

 A) なぜ、美容整形をするのか?
 以前は「うしろめたい」という意識や、技術の不安、費用などの理由から、行う人は少なかったが、現在は「美しくなりたい」という欲求も高まり、技術の向上からメイク感覚でできる「プチ整形」が可能となり盛んに行うようになった。

 B) 美容整形を流行ととらえていいのだろうか?
 服や物のように簡単に取り替えることはできないが、多くの人が行っているので、断定はできないが流行化していると考えられる。

 

議論の流れ

 まず、「ただ純粋にきれいになりたい」「以前は、外見に異常があるから治療していたのが、現在はもともと普通の状態であるが美しくなるために整形する」「きれいになれば中身も変わると思っている人が多い」よいう意見や、美の流行に関しては、「日本人の持っている『美の観念の流行』(今までの日本人にはないような顔)に合わせるためにする」「現代的美人になりたいからする」「その時代の大多数が認めれば『美』となる」という意見が出された。また、「周りの人と違うといじめにあうので、人と同じになりたいという日本人的な周りと一緒でなくてはいけないという考えがあるのではないか」という意見も出された。美容整形をすることによって、どのように変化したのかを私達は、整形をした人々の体験談を通して表現しようとしたが、その内容が深いところから、できれば美容整形の文化論的な観点がほしいという意見に対し十分ではなかったので、人間の内面(精神)的なものまでにまで論点を定めなければならないことが明確になった。

 

結論・感想

 現在多くの人が、他人から見て欠陥ではなくても、本人から見れば欠陥でありコンプレックスであることが多く、整形することによって違う自分に変われるという考えを持っていることがわかった。整形によって自分を変える、つまり「変身」することを望んでいる。外の変化によって内も変化するのだ。新しい「私」に変わりたいという欲望、その背景にある個々人の美の基準というものがマスメディアによって植え込まれていることを感じた。「美の観念の流行」にあわせるため、周りと同じになるため、外見と内面の変身のために美容整形するのだ。

 

 

参考文献

 山下柚実『美容整形「美しさ」から「変身」へ』文藝春秋 2001
 武蔵野社『美容整形のすべてがわかる本』主婦と生活社 2002
 『FRAU 9月10日号』講談社 2002
 http://www.kirei.com/about/02.html
 http://www.esn.gr.jp/967Eversus/
 http://www.haruka-fan.net
 http://junchi.cside21.com/
 http://www.norikanesque.com/
 http://www.miporin.ne.jp/mizuho