平成14 (2002) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨2002年11月25日 (月) 14時31分 Web 掲示板投稿(山本昭彦)

 

  

テーマ:日本における売春について

 現代においては「売春」という概念、さらに性について触れることはタブー視されています。私達は今回普段話し合う機会のないこれらのテーマについてあえてコロキウムで取り上げてみたいと思います。

 そもそも売春とは何なのでしょうか?売春とは「悪いこと」なのでしょうか?

 現在と過去では売春に対する意識はどのように変わったのでしょうか?男性側/女性側の心理とは?

 これらの問題についてぜひみなさんと話し合いたいと思います。

 

 

 



発表報告2002年12月05日 (木) 19時20分 Web 掲示板投稿

文化論コロキウム報告書:テーマ『日本における 売春 について』

発表日 2002年12月5日

発表者 並河理史、高橋英子、藤原敬史
担当教官 佐竹正一先生

 

問題提起

 日本は高度経済成長以後、物質的な豊かさを追い求めその反面で精神的な部分を無視してきたため家庭崩壊や、教育問題、少年犯罪などの深刻な社会問題が噴出してきました。
 沖縄での米兵による少女暴行事件などの問題に触れたとき性について避けてきた自分たちの態度がある意味ではこれらの問題を起こしているのでないかと感じて今回このテーマを選びました。コロキウムで答えが出なくてもみなさんとともに考えることで問題解決のきっかけになってくれれば・・・と思います。

 

質問事項

「セクシュアリティを抑圧しているのは社会制度じゃないか?」
   →その通りだと思います。

「発表者はセクシュアリティの観点から売春を捉えることによって売春をいいものとして捉えているのか?」
   →昔は搾取関係があったけど、今は生活苦から売春をするわけではないということから、ジェンダーの観点からセクシュアリティの観点に変えることで何か昔とは違う売春の意味があるのではないかということを議論したい。

「オランダでは売春が合法化されているがそういうことを望んでいるのか?」
   →暴力団などの介入を抑えるためなど売春する者に対し法的な保護を与えることはある程度必要だと思うが、実際日本で法制化したところで簡単にオランダ化するわけはないので単純には言えない。

「赤線・青線って何?」
   →RAA(特殊慰安施設協会)が制度として廃止された後、実質的に残った売春施設や区域。赤線は元RAA区域。青線はその周辺の私娼街。警察が地図を赤線と青線で囲ったことから。

「新風営法について」
   →新しい風俗店などに対する営業規制。いたちごっこみたいなもの。

 

議論の内容

 フーコーによれば「性欲は食欲のようなものである」が、実際には性欲は嫌悪されている。その理由は性と精神的な愛は切り離せないと考えられているためである。そのため売春は悪いこととされる。切り離せると考えればセックスワークという概念を認めることになるし切り離せないのであれば売春は人権を害するものであると思われるが、それについてこれ以上は議論されなかった。
 セクシュアリティの抑圧については、性道徳の根源性について意見が出されたが、道徳の水準に差があるように、性道徳もの水準も具体例によって異なるのでなんとも言えないと思われた。
 また売春との関連では同じお金を稼ぐ行為でも現代は主体性のある売春(セクシュアリティの抑圧の少ない)が多く、お金の使用目的も昔の生活費から自分の趣味に変わったのでお金のためと一口でくくれないという意見も出た。
 セクシュアリティを完全に開放したら家族制度が崩壊するという意見も出た。
 東電OLの場合については金によって性と愛(人格)を引き離そうとしたのではないかという意見も出た。

 

まとめと反省

 学生の意見がほとんど出なかった。
 発表の時点で私たちの議論の限定や定義などが十分でなかったため論点が錯綜して、先生同士や発表者の間で議論のための議論に終始した面があった。
 もう少し自分たちの意見をまとめそれを述べていれば具体的な議論もできたかもしれないと思った。