|
|
テーマ&要旨:2002年04月22日 (月) 20時58分 電子掲示板投稿 |
|
|
今週のコロキウムの議題は<なぜダイエットをするのか?! です。 現在、私たちの周りにはダイエットに関する情報やモノで溢れかえっています。テレビではダイエットのための運動器具や本、女性雑誌には毎回ダイエット特集が掲載されています。 なぜ、ダイエットが現代日本人、特に女性に受け入れられたのでしょうか。それらのことについて、歴史的観点やジェンダー論的観点から考えていきたいと思います。 |
|
|
発表報告:2002年05月15日 (水) 18時59分 電子掲示板投稿 |
|
|
文化論コロキウム報告書 4月25日発表 遠藤里子、高橋英子
1.男だけがダイエットしていた時代 ダイエットは、中世から19世紀末、男性だけが行うものであり、中世では太っていると甲冑が切れなくなるからという職業上の差し障りがあり行っていた。また、ほかの理由として、病気を改善させるために行っていた。これらは、自発的、または必要に迫られて行っていたことであり、やせて格好良く見られようという意識からではない。一方、女性は受動的で、自分の体をコントロールできないと考えられ、太っていることは彼女の運命と見なされていた。 2.女性の社会進出とダイエット 1920年代に入って、ダイエットは女性の問題として見られるようになった。この時代は女性が社会進出したときである。以前までは、女性は自分の体をコントロールできないと考えられていたが、社会で男性と同じように働けることをアピールするために、太った女性はダイエットをし始めた。男性に認めてもらうためのアピールであったから、ダイエット=男性を意識したものという概念が生まれる。
3.男性が作り上げた女性像 1950年代の高度消費社会になるとカラー印刷の発達やテレビの普及によりメディアを通じて理想の女性像が形成されるようになった。この時代には、マリリン・モンローが登場した。彼女は、男性が作り出した理想の女性像であり女性の美は男性の価値により規定されていた。また女性もその価値に迎合する時代であった。
4.女性が作り出した新しい女性像 1960年代に入り、反体制運動が盛んになると、マリリン・モンローとは対照的なツィッギーが登場した。彼女の登場は、それまでの男性から押しつけられた女性の理想像への反発と解放、そして女性自身が自らの美を追求し始めた事を意味している。ツイッギーは脱セックス化された、性差が未分化の思春期の女性をイメージさせ、豊かな胸など女性本来が持ち得る特性を否定するものといえる。そこには、男性からの視線で良しとする女性像を女性が打ち壊そうという考えがある。女性の自立した美が生まれたといえる。女性の肥満の抑圧は女性という性の全体問題だという認識が、当時盛んだった第二派フェミニズムの間にも広まり、その中でも、レズビアン・フェミニストの影響を受ける。これは、男性を離れ、女性だけのコミュニティーをつくることで、太った女性が知性や個性によって愛し合うことができるようになるというものである。
5.自然回帰とダイエット 1960年代末、反社会的なカウンターカルチャー、アンダーグラウンド、ヒッピーと呼ばれるグループが生まれる。1962年にレイチェル・カーソンの『沈黙の春』が出版され、環境破壊への警告の先駆けとなる。そこで自然食品、健康食品が意識されるようになり、ヒッピー達のナチュラル、ヘルシーの考えに受け入れられた。当時、アメリカでは高度消費社会による大量生産技術により、食物が安く購入できるようになった。大量生産には大量の化学薬品や農薬を使用する。このために環境破壊が起こるのだが、これらの薬品は人体にも悪影響を及ぼすために、自然食品のブームが起こる。人体に無駄な物は摂取しないようにしようという考えである。
6.拒食症・過食症 1970年代には拒食症・過食症が社会的問題となった。これは、女性に圧倒的に多く、「女性はやせている方が美しい」という価値観がメディアなどによりうえつけられた。雑誌には、痩せたモデルばかりである。また、女性は他人から見られるという意識が男性よりも強い。拒食症の人は、どう見ても痩せているのにまた食事を摂らないでまた痩せようとする。痩せたらやめるということではなく、痩せるという過程に取り憑かれていて何度も繰り返してしまう。また、ストレスをきっかけに発症することが多く、心の病としてとらえられている。 |