平成14 (2002) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨2002年06月06日 (木) 20時35分 電子掲示板投稿

 

  

 来週(6月13日)の文化論コロキウムでは匿名巨大掲示板について議論したいと思います。

 インターネット上で今、毎日800万件ものアクセスがある巨大掲示板、『2ちゃんねる』
 この掲示板では全ての人間が匿名によって様々な書きこみを怒涛の如く行い続け、
 ピンからキリまでの様々な発言によって、独自の空気を形成しています。
 現代においての社会現象とも呼べるほどの異常なアクセス数、
 この掲示板に書きこみをする人達は一体何を求めているのでしょうか。

 私たちはこの匿名掲示板に書きこんでいる人間の背景について考察し、
 それによってこの日本の現代というものを浮き彫りにしていきたいと考えています。

 『匿名掲示板は今、何故流行っているのだろうか?』

 コロキウムまでに、以下のサイトをご参照ください。

  「2ちゃんねる」→www.2ch.net

 

 

 



発表報告2002年06月26日 (水) 14時34分 電子掲示板投稿

 

 

6月13日コロキウム 「なぜネット掲示板なのか」 報告書

 発表者  小林翔 藤倉友美
 指導教官 菊地良夫

 

@話題提供

 コンピューターの普及に伴い、あらゆるネットコミュニケーションが展開されている現在、2ちゃんねるという巨大な匿名掲示板にアクセス数が殺到しています。これはユーザー300万人、一日のアクセス数800万件という数字に裏付けられています。なぜ2ちゃんねるはこれほど多くの人たちの注目を集めているのでしょうか。

(1)このサイトを利用する人はどういう人なのか
(2)相手の反応を全く気にしないと思われる発言が存在するのには、理由があるのではないか

 以上の2点を切り口にし、議論を進行しました。

 

Aレジュメについて

 まず2ちゃんねるの特徴をあげ、他のサイトとは明らかに違うという事を述べ、次に2ちゃんねる内で見られる特異な発言行動をあげました。また実際の2ちゃんねるのページをコピーし、掲示板の様子や適切な発言と不適切な発言の例を分かりやすいように説明しました。発表者の意見としては、(1)については現代の特徴として2ちゃんねるの他に、パラサイトシングルといじめなどから責任逃れという動きが見られるのではないかと考えました。(2)については、自分の意見を批判されたくない心理が働いているのではないかと考えました。

 

B議論の流れ

 まず質問として、2ちゃんねる」内のまともな掲示板にはどのようなものがあるかという質問がありました。こちらの返答としては、PC関係の板などがまともであると考え、そのように返答しました。また、2ちゃんねる反対の声はあるかどうかという質問がありましたが、それは存在します。

 (1)について意見を聞きましたが、掲示板の規模が大きく、かつ匿名であるため、利用者の特定は意味がないのではないかという意見が出て、先に(2)について考える事になりました。この議論の中心である、相手の反応を気にしない発言というものについて、そのようなものは存在せず、彼等も本当は反応を気にしているのではないかという意見が出ました。また、何故無責任な発言が出てくるのかについて考え、自由を履き違えているのではないかなどの意見が出ました。2ちゃんねるで発言している人たちを大衆と考え、匿名によって仕返しされない事から、言葉の暴力を振りかざしているのではないかという意見もでました。このようなサイトの良いところとして、交流を広くとれるところ、また普通の社会では問題とされないような根本的な問題提起がなされるなどが挙げられました。サイト内で中傷をしている人は、ストレス解消、匿名に守られて抑圧を解放できる自由の極地の場として利用しているのではないかという意見より、それが大衆の団結のエネルギーをそいでいるという、ガス抜きの場とされているのではないか、との意見で落ち着きました。最後に、ストレス発散といっても箱の中の話で、それが実生活の犯罪などに関わってくるのかという問題提起がなされて終了しました。

 

C結論/感想

 最後の問題提起について、我々はストレスの発散は可能だと考えます。それは何故かというと、インターネットの掲示板というコミュニケーションツールが対人関係を前提としている事から、誰かに自分の意見をぶつける事はこのシステムにおいても容易だからです。皆さんもこの新しいコミュニケーションの形について自分なりに考えていただければ、今回の議論は成功だったという事ができるのではないでしょうか。