平成14 (2002) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨2002年06月28日 (金) 15時26分 電子掲示板投稿

 

  

  ネット投票 YES or NO??

 先日、電子投票が行われました。この試みは、投票所での面倒な確認作業の簡略化、投票用紙の経費削減などを狙ったものでした。テクノロジーの発展が目まぐるしい今日では、近々、インターネットを利用することによって、自宅にいながら投票できるようになるとまでいわれています。しかし、便利になる一方で投票者の選挙に対する態度や、ネット使用においての危険性が問題になってくるとは考えられませんか?

 今回のコロキウムでは、ネット投票の是非、選挙、投票について話し合いたいと思っています。

 

 

 



発表報告2002年07月18日 (木) 10時03分 電子掲示板投稿

文化論コロキウム報告書  テーマ『ネット投票YES or NO??』

発表日 7月4日
発表者 加藤央子 長津瑛子 永木秋穂
指導教官 山本昭彦

 

1、話題提供

 先日、岡山県新見市で電子投票機を用いての投票が行われた。個人確認作業の簡略化、投票用紙の経費削減、開票作業時間の短縮などを狙ったものだった。インターネットでの投票が可能になるのもそう遠くないという。しかし、便利になる一方で投票者の選挙に対する態度やネット使用においての危険性も問題になってくるのではないか?ネット投票の是非、それぞれの意見を求める。

 

2、レジュメについて

 まず、1では電子投票について説明した。メリットをあげ、インターネット投票の実現可能だということを説明した。2では、インターネット投票についての現状を説明。2000年3月のアメリカアリゾナ州での大統領予備選挙の例、2002年4月のフランスヴァンドゥヴル市での大統領選挙第一回投票の成功例(いずれも試験的実施)をあげネット投票もいずれ可能であることを強調した。3では、論点を表記。ネット投票にメリットはある分、問題点もあるのでは…と論点を以下の3つにしぼって議論を開始する。(1) ネット投票のメリットと問題点 (2) 便利さの追求 (3) 未来社会=コンピューターによる管理(人はナニをしんじるのか)以上に論点をおき、選挙についてもコメントしつつ、以上のことを表記した。

 

3、議論

 YES派、NO派に別れてもらい意見を述べてもらった。(技術面での問題はクリアしたことにして議論)YES派の意見をまとめれば、以下のようにあげられた。まず、人件費などの費用カットや、開票作業の時間短縮が一番にあげられた。しかし、何といってもイエス派の賛成の理由としては、技術面はクリアするのだから‘便利’なほうが良いという意見が多かった。また、民主主義の象徴である直接選挙の機会が増えるのは良いのでは…という意見も。
 NO派の意見としては、投票をした実感が得られないことや、管理の問題はどうか(ex個人確認のためにつけられる番号)、社会構造の衰退??につながるのではという主張があった。
 議論は展開し、様々な方向へ進んだ。まず、情報管理の問題があがった。管理者が善人とは限らないので、誰に投票したかなどの個人プライバシーの流失の危険性も考えられる。さらにインターネットでつなぐことによって危険は増える。ハッカーがでてくることも否定できないので選挙自体の運営の危険性もあげられる。それから、ネット投票を機会に国民を番号で管理するのではないか、という「管理社会の危険性」の意見も出された。(住民基本台帳ネットワークシステムが最近騒がれているが…)それらの点から‘便利’さだけを追求すれば良いのか?という意見も。‘便利’という意識のもとで、日本人の政治への関心がますます低下することは否定できないのでは…という意見もあった。

 

4、感想

 当初、科学技術の発展によってメリットはあるものの、実は多くの問題点を抱えているのではないかと考えたのが今回のテーマのきっかけだった。テーマ設定は成功したし、‘便利さ’の追求の話もおもしろかったのではないかと思っている。賛成派と反対派にわけたことで、予想通り活発な意見交換の時間を得る事ができた。ネット投票に賛成か反対かを問うことへの疑問も投げかけられたのだが、様々な意見を聞き出す方法としてはむしろ良かったと思っている。どちらが正しいかではなく、そこから生まれる新たな問題の方へ関心があったのもあってこの方法で議論を進めたのは正解だった。論点もいい視点だったと思ったが、議論は思うように進まず、3つめの論点は触れた程度で終わってしまった事、インターネットと選挙・投票という、今私達の世代がより力を入れて考えなければならない事項だったにも関わらず学生の意見が少なかったこと、この二点が残念だった。