平成14 (2002) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨2002年07月22日 (月) 13時59分 電子掲示板投稿

 

  

 今週の木曜日、前期最後のコロキウムのテーマは「パラサイトシングルについて考える」です。
 数年前からパラサイトシングルが社会問題として取り上げられるようになりました。彼等は親と同居し、生活の大部分を親の収入に頼って、自分はヴィトンのバッグ等の高額な贅沢品を自分の思うままに購入し、優雅な生活を謳歌しています。何故彼等は自立しようとしないのでしょうか。この現象は日本だけにみられることから、日本特有の文化等も何か関係しているのではないでしょうか。私達はこのパラサイトシングル現象について調べ、そして皆さんと一緒に議論していきたいと思いました。テスト期間の真っ最中ですが、皆さんご参加よろしくお願いします。

 

 

 



発表報告2002年07月25日 (木) 17時18分 電子掲示板投稿

 7月25日コロキウム報告書

  「パラサイトシングルについて考える」

      小林 翔  藤倉 友美  杉原 麗香  吉岡 由

 

1)話題提供

 現在、パラサイトシングルと呼ばれる若者が社会現象と化しています。これは生活の基礎的部分を親に依存している若者の事で、彼等は親の収入をもとに贅沢品の購入等をしているようです。このパラサイトシングルは何故日本で多くみられるのでしょうか。パラサイトシングルの生まれる条件とはどのようなものでしょうか。私達はこの問題について考え、議論を行いました。

 

2)レジュメについて

 パラサイトシングルの定義として、自立すべき歳になっても基本的生活を親に依存している独身者としました。また、親同居未婚者数についてのデータを挙げました。彼等の生活の状況についてのメリット、社会に与える影響についてをいくつか挙げました。諸外国との比較のため、アメリカ型、スウェーデン型、日本型の三種類の分類を行いました。議論のポイントとして、(1)日本にパラサイトシングルが特徴的にみられる理由、(2)パラサイトシングルが成立するための条件、(3)二十代後半になると親同居未婚者数の男女比が逆転するのは何故か、としました。

 

3)議論の流れ

 まず質問として、子離れできない親についての問題が含まれていないのではないかというものがありました。これは議論の中でも扱われることになりました。日本にだけ存在する、という表現ではなく、日本特有の、とすべきではないかとの意見があり、そのようにしました。働いている者もパラサイトシングルと呼ぶのかどうかの質問があり、そのように呼ぶと答えました。親を介護するために親元にいる若者を区別するべきではないかという意見がありましたが、詳しいデータが出ていないとの返答に留まりました。
 外国との比較と言う点で、文化や宗教の問題もあるが、親の意識が大きな問題ではないかと言う意見が出ました。外国では夫婦が家族の中心になるが、日本では、夫婦より子どもが中心になるということです。この状況が文化的な要因からくるのではないかという意見が出ました。また儒教とキリスト教の違いについて、儒教が日本にどれだけ浸透しているかと言う問題があり、それに対して、キリスト教圏においてもすべてがそうではなく、カトリックとプロテスタントの間でも考え方の違いがあり、今回はプロテスタントを主に見たこと、また儒教の制度である年功序列制度が残っていることから、儒教の考え方はなくても影響は残っていると言う意見が出ました。年功序列制度から考えると、パラサイトシングルが親と同居する選択肢を選ぶのは合理的なことではないかと言う意見が出ました。そこから、自立していない以上パラサイトシングルは未熟であるのではないかとの意見もありました。ここで学費が親が払うことが前提の額を取っているという意見が出て、それが当たり前であることに問題があるのではないかとのことでした。最後に、日本は親も子も甘えており、甘えの構造ができているのではないかとの意見があり、そこで終了しました。

 

4)感想

 学生個人にも現時点でパラサイトしているという自覚はあったようです。全体的にパラサイトシングルに対して否定的な意見が多かったように思われます。若者のあり方はこれからも変化し続けると思います。今の状況を見直す良い機会となったのではないでしょうか。