文化論コロキウム報告書
・発表者 :M班…川崎能大、新井田萩子、三谷将史
・担当教官:菊池良夫
テーマ:「イオン盛岡と盛岡市商店街の未来」(発表日:11月13日)
○資料について
議論のための資料として、イオンモール株式会社について・イオン盛岡店について・イオン出店までの経緯・盛岡市が提示している商店街活性化のための取り組みとその予定、を配布した。
○質問と回答
質問:1.イオン盛岡へのアクセスは本当に恵まれているのか?
2.実際に商店街は衰退しているのか?
3.商調会の議事録があるはずだが、調べていないのか?
4.イオンは「地域産業」を目指す、と謳っているが、「地域産業」とは何か?
回答:1について…国道沿いに立地しており、近くにインターチェンジもあるため、車を持って いる人にとっては非常に便利である。
2 � …具体的な情報は得られなかった。
3 � …調べていませんでした。
4 � …地域に貢献する産業、という意味だと考えられる。
○論点
・なぜ大勢の人がイオンへ行くのだろうか
・イオン人気はいつまで続くのだろうか
・商店街との共存は可能だろうか
○議論の流れ
まず発表者の意見として、イオンへ行く理由としては安いということよりも物珍しさが大きいと考えられること、その意味でイオンはレジャー施設的性格を持つと考えられること、そしてイオンと商店街では客層が異なるため、商店街が無くなることは無いであろうと予想されることを挙げた。三つ出していた論点の中で「なぜ大勢の人がイオンへ行くのだろうか」から議論を展開していくことになったが、この理由としてはまずイオンに無料の大型駐車場があることがあげられた。更には多種多様な店を取り揃えるモール形式により、商品を比較しながら一括購入できて便利であるという点があげられた。いずれも郊外への立地が大きく関わっている。
次に二番目の論点「イオン人気はいつまで続くのだろうか」にも関連して、イオン自体の物珍しさがあげられた。県内最大規模で、今までの盛岡にはない雰囲気ということもあり、商品の価格が安くなくても人を呼び込めるということである。ただこれだけではイオンが他企業より人気を得ている理由として不十分だったので、イオンは利用者にとってレジャー施設の意味合いが強いのではないかということが話し合われ、行くだけで楽しい、暇つぶしになる、といった意見が出された。また、これからはテナントを入れ替えることでお客を飽きさせない工夫がなされ、リピーターも確保出来るだろうと予想できた。最終的に はこういった「遊び心」に、先にあげた「利便性」が加わって人気が出るのだろうということになった。
三番目の論点「商店街との共存は可能だろうか」については、まず交通手段の違いが話題になった。地元商店街はバスや自転車、歩いて来る人々をターゲットとしているのに対し、イオンは車を持っている人に有利な立地条件となっている。この点から言えば利用客を区別して棲み分けが出来るのではないかということになった。各商店街でイオンには無い特徴を出していくことにより、客層の違いを生み出せる。全体として、車を使わなくて済む快適な街づくりを目指していけば良いのではないかという意見にまとまった。ただし、イオンについては交通渋滞の問題が解決され更に交通の便が良くなると、アメリカのように中心地の空洞化が起こるだろうという予想も出た。また、若者は密着したコミュニケーションを嫌うので商店街離れが起こるのではないかという意見や、イオンのような商業形態自体を否定する意見も出た。
○感想・反省
議論では、イオンという身近なテーマということもあり、学生からも多くの意見が出された。我々は商店街に対して悲観的な意見が多く出されるのではと予想していたのが、それに反して商店街に対して好意的な意見が多く、イオン盛岡と盛岡市商店街との共存も可能なのではと感じた。しかし同時に、街の中心が移るという可能性もあるということがわかり、商店の形態のアメリカ化が進むにしても、改善の必要があると感じた。反省点としては、マーケティングの必要性を指摘されたことと、商店の現状についての資料が足りなかったことが挙げられる。
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