コロキウムN班報告書
テーマ:シングルマザー
発表日:2003年11月20日(木)
発表者:熊谷直美 伊藤えり 成田ひろみ
担当教官:小林英信
●問題提起
近頃、未婚で子どもを産む女性や、夫はいらないけれど子どもは欲しいという女性を描いたドラマなどが数多くあり、シングルマザーは注目を集めている。結婚をしないで子どもを産むことは、親のエゴなのだろうか。片親だけの子どもは不幸なのだろうか。親の視点、子どもの視点から探っていきたいと考えた。
●発表内容要約
はじめにシングルマザーを分類し、ここでは「未婚で子どもを産んだ母親」を取り上げることを提示した。次に、シングルマザーが増えている理由として、「女性の経済的自立が可能になった」「結婚は個人の自由意志によるという考え方が浸透」「父親の存在の絶対的価値の衰退」「父親になることを拒む男性の存在」の四点を挙げた。次に、結婚と出産の関係を見るものとして、精子バンクサイトにシングルマザーを望む女性に向けたページがあること、婚姻外出生の割合が例外的であること、嫡出子と非嫡出子との差別について説明した。次に、「シングルマザーの声/シングルマザーの子どもの声」としてシングルマザーについてのウェブページからコラムをいくつか紹介した。
論点 ・シングルマザーはエゴイストか
・ 結婚しないと子どもを産んではいけないのか
私たちの意見としては、
●質問・回答
1、 シングルマザーは増えているのか
→ウェブサイトもたくさんあり、増えていると思う。また広く認知されている。
2、コラムを選んだ基準
→世間からの批判という点に着目して選んだ。
3、離婚・死別による母子家庭の母親はそもそもシングルマザーとは言わないのでは。
→取り上げる対象とはしなかったが、「シングルマザー」の定義はできなかった。
4、コラムはシングルマザーへの賛成意見だが、反対意見はないのか。また、消極的に考えている人はコラムを書かないのではないか。
→確かにそうで、反対意見を見つけるのは難しい。
5、シングルマザーの子どもは、周りに「かわいそう」と言われることで自分をかわいそうだと思うのではないか。
→世間からそのように見られたときにそう感じると思う。
●議論展開
【論点1「シングルマザーはエゴイストか」】
・親は両親が揃っていても、子どもに産まれるかどうかの選択権はないのだから、シングルマザーに限らず結局みんなエゴイストなのではないか。
・エゴイストとは、子どもに対してか、社会に対してなのか。子どもに対してだとすれば、子どもにとってどんな状況に置かれることがエゴなのか。
→経済的に苦しいこと。戸籍や相続の差別。
→両親が揃っていたほうがいいという社会通念がある。片親はマイナスイメージが強い。
・シングルマザーをエゴイストだと批判する人のほうがエゴイストである。
・経済力や育てる力がないのに産むのはエゴイストなのではないか。
→経済力がなくても母親は子どものためになんとかしようとするし、エゴではない。
→能力があるないは、子育てをしてみなければわからない。エゴかどうかという問題は、周囲からそう見られるかどうかという問題である。
・子どもを自分の人生を豊かにするための手段として産む、という点でエゴイストである。
【父性について】
・「父親」でなくても、「父親らしいこと」をしてあげる男性の存在は必要かもしれない。
・家父長制の考えでは、父親は社会規範を教える役割がある。
・一人の子育てより二人で協力して子育てすることで、偏りが少ない。
☆父親がいないことはマイナス面があると考える社会の中で、あえてシングルマザーとなるという点で、「エゴイストだ」と考えられるのであろう。
【苦難の中でなぜあえて産もうと思うのか(男性からの意見)】
・女として、子どもを産みたい。「母性」か。
・子どもは唯一、無償の愛を与えられる存在である。
・出産子育てに対して、女性は本能によるところが大きいが、男性は理性的に義務として考える。
●感想、反省
質問、意見等学生の発言が活発で、熱気のあるコロキウムとなりよかった。予測としては、周囲の批判がシングルマザーをエゴイストたらしめている点を中心として、より社会的な視点からの議論になるのではないかと思っていた。実際には、まず「エゴイスト」とはどういうことなのかという議論が長くなった。父性・母性といった議論では、主観的意見が多く聞かれ、本音が垣間見られた。
論点2は時間の都合でほとんど議論できなかったのは反省点である。しかし、私たちが用意した論点以外で、さまざまな疑問点や意見が出され、それを議論することができたのでよかった。
コロキウムで母性や父性の話をしたのは初めてだったので、新鮮だった。
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