コロキウム報告書
テーマ:「大人とは何か」民法、公選法、少年法の年齢引き下げについて
発表日:2003年12月11日
発表者:水戸幸浩 佐藤賢司 星好行 小原香奈子
担当教官:小林英信
○問題提起
現在多くの国々で選挙権が18歳に与えられている。日本でも最近18歳に選挙権を与えようとする動きがある。選挙権を与える年齢を18歳に引き下げるべきだろうか。引き下げるとしたら、民法、少年法の成人年齢も同時に引き下げるべきなのか。この問題を、大人とは何なのかを踏まえながら、探っていきたいと考えた。
○発表内容要約
はじめに様々な視点からの大人の定義を紹介した。次に、現在の日本における年齢と法について説明し、各年齢で与えられる権利と責任を紹介した。次に、様々な国における選挙権、被選挙権、刑事・民事責任年齢を示し、日本と比較した。次に、世界の成人年齢引き下げの動きを紹介し、どのような経緯で成人年齢が引き下げられていったのかを説明した。最後に、日本の年齢引き下げ論を、各政党の政策に触れながら説明した。
○論点
民法、公職選挙法、少年法…日本は、18歳に引き下げるべきか?
○議論の流れ
はじめに、高校を卒業して働いている人は、税金を納めているのだから、選挙権を与えても良いのではないかという議論になった。これについては、消費税など、年齢に関係なく納める税もあるので、納税しているというだけでは選挙権を与える理由にならない、などがあげられた。あわせて、中学を卒業し働いている16歳にも選挙権を与えても良いのではないかという意見が出された。これについては将来与えられればよいが、それにあわせて成人年齢を16歳まで引き下げるのは難しいだろうとされた。
また、選挙権だけでなく被選挙権も同じ年齢に下げるべきではないか、という疑問が投げかけられた。これに対しては、政治家を選ぶ能力と、政治を行う能力は違うのだから、年齢に差があっても良い、という意見が出た。しかし、これは権利の問題なのだから、能力はどうであれ、権利は与えられても良いということになった。
次に、選挙権年齢引き下げで問題なのは、経済力ではなく、教養が備わっているかではないかという話し合いになった。他の国と比較して、日本の18歳が選挙権を与えられるほど成熟できていないのことが、問題である。選挙権年齢を引き下げるのは良いことだが、そのためには義務教育の段階で、もっと政治についての教育をする必要がある。偏った政治思想をもたされないよう、すべての政党の政策を何人もの人から教わっていくことで、政治的判断力をつけさせれば良い、という結論に至った。
○感想と反省
少年法、民法の成人年齢引き下げを交えながら考えていきたかったが、議論は選挙権が中心になった。途中、選挙権と刑事責任は別の問題では?という意見も出たように、3つあわせて議論するのは難しかったようだ。ただ、選挙権については、議論が深く進められたので良かったと思う。
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