文化論コロキウム I班報告書
テーマ:「マザコン」
発表日:2005年1月27日
発表者:浅利純子 新井田萩子 幸村和美 昆沙織 渋谷有里
担当教員:山本昭彦
○問題提起と論点
「マザコン」と聞くと、気持ち悪いというようなマイナスイメージを持つ。しかし、母親と仲が良いことは、「母親思い」と捉えることもできる。そこで、普通の男性・母親思いの息子と、マザコン男のボーダーラインはどこか?その背景にはどんな文化的要因があるか?を論点とした。
○発表内容
最初にマザコンのイメージとして、「冬彦さん」のビデオを見てもらい、マザコンという言葉の成り立ちと流れ、辞書的意味、日常的な使われ方について説明した。また参考として、離婚裁判から見たマザコン(マザコンが離婚の原因となりうること)、心理学の面から見たマザコン(エディプス・コンプレックス)について発表し、考察として
・事前に行ったアンケートから、恋愛感情と自立の関係を考え、母親への恋愛感情がなく、自立している男 性はマザコンではなく、それ以外(恋愛感情がある、自立していないのどちらか、または両方にあてはま る男性)はマザコンと言えるのではないか
・年齢的には小三くらいがボーダーラインではないか
・日本文化から、母親とのスキンシップへの嫌悪があり、マザコンとみなすのではないか
・精神的な面で、母親に「してあげたい」と「してもらいたい」の違い
という点をあげた。
○議論の流れ
まず、アンケートの「母親の意見を尊重する」という項目については、母親の意見をうのみにするのがマザコンで、意見の一つとして参考にするのはマザコンではないとの意見が出された。スキンシップに関しては、日本では性的な意味に捉えられ、抵抗があるが、それがマザコンの典型とはいえないとの指摘があった。また、マザコンになる要因としては、母親の息子への依存も大きいのではないかとの意見があり、それに積極的に応えるのがマザコンと言えるのではと話が進んだ。新たな考えとして出されたのが、妻への依存に関してで、結婚しても母に依存していて、母から妻への依存の転換ができない男性がマザコンではないかという意見で、ここで妻への依存はマザコンになるのかという疑問も出た。日常生活のボーダーラインとして、母親に服を選んでもらう年齢について各班で話し合ってもらったところ、大体思春期が目安で、異性との関わりを意識する年齢がそのボーダーと言えるという結果であった。
○反省・感想
各班の話し合いでは、盛り上がっているように見えたが、議論に入ると学生からの意見があまり出なかったのが残念に思う。ただ、議論の中で私たちの考察にはなかった、妻に関する意見が出るなど、新たな視点でマザコンへの考えが深められたのがよかった。おおまかなボーダーラインは見えてきたものの、その背景にある文化的要因までは時間がまわらず、心残りだ。
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