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文化論コロキウムB班報告書
テーマ:「熊と人間〜熊騒動から考える〜」
発表日:2004年11月11日
発表者:及川幸恵 佐藤万里子 佐々木哲也 大橋沙織 澤田粧子
指導教官:杉浦直
1、問題提起
秋になり、クマ出没というニュースが流れない日はなく、人がクマに襲われる被害も止まらない。そこで私たちは、熊と人間との望ましい関わり方、特に両者の共生の可能性について探っていこうと考えた。
2、発表内容
論点について考えてもらう材料として、熊騒動の被害と現状、人間が抱いてきたクマに対するイメージ、アイヌとマタギがどのようにクマと関わってきたか、海外の国立公園のクマに対する取り組み例、現在のクマに対するNPOや各自治体・団体の取り組みなどを報告した。
3、 論点
(1) クマはなぜ里に降りてくるのか?
(2)
人間は熊とどう関わっていくべきなのか?(以下の2点を手がかりとして考える)
(A) 人間はクマを殺してよいのか?
(B) 人間がえさをあたえるのはどうなのか?
4、 各グループからの意見
論点(1)に対しては、「考察どおりでよいのでは」、「これは論点にはならないのでは」という意見が出た。
論点(2)については、(A)
に対して「殺されたら殺す」、「殺す以前に熊の住める場所である里山を作るべきではないのか」などの意見が出た。(B)
に対しては「人のエゴではないのか」、「短絡的考えだ」などという意見が出た。
5、議論の流れ
議論はまず、熊を殺してもよい規準についての話しとなった。そして熊を殺す殺さない以前に、まずなぜ熊が里に降りてくるのかについて話し合うことになった。今年被害が多かったのは、台風によるエサ不足のためだが、熊による被害は年々増えてきていると考えられる。そこで台風などの例外を除いて考えることにした。もともとの熊の生息域である森林、特に落葉広葉樹林の減少がエサ不足を引き起こし、結果的に熊被害を増加させている。これは、熊の絶対数が減少傾向にあり、特に四国や九州では、ツキノワグマがほとんど絶滅してしまったことからも考えられる、となった。
6、考察
今年熊が多く出没し人に被害を及ぼした原因は、多数の台風が上陸し熊がエサ不足となったためだが、熊の被害は年々増加傾向にあると言える。これは自然破壊により熊の生息域が減少しているため、また人間の生ゴミ管理が不十分なために「新世代グマ」を出現させたためと考えられる。早急に熊に対するこれまでの対応を変える必要がある。動物を優先する区域、人間を優先する区域を意識して作り、動物の保護を徹底していく必要がある。そこには経済的な問題がたちはだかり躊躇してしまうが、野生動物との共存を考えると早急に取り組んでいかなければならない。
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