文化論コロキウム D班報告書
テーマ:宮崎アニメはなぜ受けるのか
発表日:2004年11月25日
発表者:藤井優子 佐々木恭子 国田知子 見上尚志 高橋真友子 佐藤藍
指導教官:山本昭彦
1. テーマと問題提起
宮崎駿監督の作品は、最新作『ハウルの動く城』をはじめとして、日本のアニメ映画としては他に例を見ない程の話題を集め、また大きな映画賞も受賞している。これほどまで人気があるのは何故か、特別に理由があるのか考察したいと考えた。
2. 発表内容
宮崎監督の今までの主な活動を紹介し、日本との比較のため海外での評価と人気の例も提示した。また、事前にコロキウム参加者からアンケートをとった。アンケートの内容は、子供のころと現在のアニメの視聴頻度、宮崎アニメの認知度、好きな作品の傾向などをまとめて報告した。
アンケートによると、コロキウム参加者はほぼ全員が子供のころからアニメに接しており、宮崎アニメに関してもほとんどの人が「見た」「知っている」という結果だった。さらに今回の議論の核である「宮崎アニメは特別であるか」という質問に関しては、8割弱の人が「はい」と回答していた。
3. 論点
宮崎アニメは他アニメと比べて特別なのか。特別ならばそれはどういった点なのか。
4. 考察
(1) 幅広い世代に見られている。
(2) 社会問題をテーマに取り入れている。
これらの点が特別なのではないか。
5. 各グループの意見
特別なのか否かについて、「個人の好み」「わからない」という意見と、「特別だ」という意見が出た。前者の立場では「他のアニメでも社会問題を扱っているものはある」という意見がだされた。後者の立場からは「他は見る世代が限定されたりするので、似たアニメはない」、「様々な社会問題が含まれている」などの意見が出た。また両方に共通して、「メディアの宣伝効果が大きい」「宮崎アニメ自体がブランド化している」という意見が出た。
6. 議論の流れ
まず、私たちが出した考察の「幅広い世代」「社会問題を取り入れている」という部分の根拠が曖昧だという指摘があった。それをふまえた上で、各班から論点についての意見を出してもらったが、その中でメディアの効果についての話になり、最後には宮崎アニメが他と違う点、ヒットする要因として考えられる事がいくつか挙げられた。
7. まとめ
宮崎アニメは、他のアニメと比べ、非常に多くの要素が含まれていると考えられる。主人公が少女だが戦争や兵器、冒険の話が出てくるという具合に、女性的な視点も男性的な視点も含まれている。ファンタジー性と現実描写の組み合わせも絶妙である。よってより多くの層の人がキャラクター、ストーリーに魅力を感じるようになっていると思われる。もちろんそれを組み合わせて作品を作る宮崎監督の才能も素晴らしいのは言うまでもない。
これらの点から、宮崎アニメはある部分で特別だと言えるのではないだろうか。
しかし今回の発表では、多数の指摘があったように、比較対象であった他のアニメの例示が充分ではなく、さらに宮崎アニメの分析や例示も充分ではなかったように思われる。そのため議論を深める事ができなかった。また、アンケートに関しては対象範囲が狭く、コロキウム内だけの偏った結果になってしまい、一般意見としてはあまり有効ではなかった。
以上のように反省点も多く、充実した議論とはいえなかった。次回の発表ではこれらの点を改善し活かしていきたい。
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