平成16 (2004) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨 2004年11月24日 (水) 14時11分 Web 掲示板投稿

 

  

 12月2日のコロキウムは「県民性」についてです。

 岩手県人は粘り強い!?秋田県人は優柔不断!?静岡県人は社交的!?
 栃木県人は特徴が無い!?大阪人はセッカチ!?
 このような「県民性」、皆さんは当てはまっていると思いますか?
 今回は県民性について話し合ってみましょう!!

 



発表報告 2004年12月17日 (金) 13時01分 Web 掲示板投稿

 

 

 文化論コロキウムE班報告書

 発表日2004年12月2日
 表者:伊藤えり、三谷将史、桑原俊介、小林香保里、八重柏さゆり
 担当教員:後藤尚人


1.動機・問題意識
 テーマは「県民性」。最近本やウェブサイトで「県民性」という言葉を見かけるが、社会ではどのように認識・利用されているのか、そもそも「県民性」とは何なのか、という点に疑問を持ち、テーマとした。


2.発表内容
 参考文献にはっきりした「県民性」の定義が無かったため、まず「県民性:それぞれの都道府県に受け継がれてきた特有の気質。そこに住む人々の性格、行動、思想、身体的特徴や地域文化に見られる特徴。」という我々自身で考えた定義を示した。
 次に教員を含むコロキウム参加者の出身都道府県を中心に、例えば「岩手県人は寡黙で粘り強い」といった県民性を表すキーワードを発表した。これは6冊の文献から各都道府県の県民性を示すキーワードを抜き出し、出現頻度の高い順にまとめた結果である。
 次に「県民性」の形成に寄与していると我々が考えた「気候・風土・地理的条件」「藩政」「歴史的人物」「産業」「交通」の要因に関して特徴的な「県民性」を説明した。例えば、「青森県や岩手県など寒冷な県では“粘り強い”という県民性が共通している」とか「静岡県のような交通の要所では“社交的”という県民性がみられる」などというような具合である。さらにこれらから検討した結果により「秋田県や新潟県のような米どころでは農耕民族的性格のために地域・親類のしがらみが強く、悩みも相談できず、外に感情の向く先がない→自殺者が多くなる」などという大胆な仮説もいくつか発表した。
 論点は「改めて『県民性』とは?」「『県民性』の利用法」の2点とした。これに対する我々の考察は「気候、歴史、産業、交通といった要素のうち特徴的なものによって人々は各都道府県人に対するイメージをつくり上げる。それが『県民性』である」、またその利用法としては「各都道府県の傾向を理解することで商品の販売戦略、円滑なコミュニケーションなどに役立つのではないか」とした。


3.各グループからの意見
 総合的に見て「普段は県民性というものを意識していない」、「他の都道府県の人と会うことで意識される」、「血液型性格判断と同じで誰にでも当てはまることが書いてあるのではないか」、「商品の販売戦略や政府の政策に利用できるのではないか」といったものが多く出された。


4.質疑応答

 質問1「県民性の概念はいつ頃から出てきたのか」
 回答:はっきりとは分からないが90年代後半に県民性の文献が多く出されている

 質問2「参考文献は具体的な統計を基にした信頼性のあるものなのか」
 回答:参考文献にある程度は著者の主観が入っていると理解した上で資料を作っている

 質問3「引越しを繰り返してきた人の県民性はどうなるのか」
 回答:実際に引越しを繰り返したことのある人に意見を求め、「自分自身の県民性は分類できないが、東京に比べて東北の人は保守的で仲良くなりにくかった」という回答を得た

などの質疑応答が交わされた。


5.議論
 県民性は単に“イメージ”であるのか、あるいは“気質の型”があり、そこにイメージが付随したのか、という点に意見を求められた。我々は「県民性」というものの存在を確信してはいたが、この時間中にはっきりと考えをまとめることができなかった。そして「『県民性』は“イメージ”である」との結論を述べるに留まった。


6.反省・感想
 準備に時間をかけ、マイクやパワーポイントを使った発表で効果的に情報を伝えることが出来た。ただ、文献を基にした調査・集計を47都道府県全て網羅すると、より深い考察ができたと思われる。当日は議論を更に発展させて、地域差が混ざり合い浮き彫りになる中で県民性は今後どのように変化していくのかといった方向に進められると面白かったのではないだろうか。また議論でも意見が出されたように、そもそも県民性があるとすれば統計などを使い具体的にどう論証することができるのかという点で、まだ追求の余地があるだろう。