平成16 (2004) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨 2004年05月13日 (木) 19時14分 Web 掲示板投稿

 

  

 5月20日(木)の文化論コロキウムは

  なぜカバー曲がこれほどまでに話題になっているのか

近年のカバー曲ブームについて話し合いたいと思います。

 2002年に島谷ひとみの歌ったヴィレッジ・シンガーズの「亜麻色の髪の乙女」のカバーが話題となり、最近では尾崎豊のトリビュートアルバムがオリコン1位を獲得…。
 新曲CDの売り上げが急激に落ち込む中で、すでに過去に発売されてヒットした曲を別のアーティストが歌って再販する、いわゆる「カバー曲」が注目を浴びています。
 この現象について、みんなで考察してみましょう!!

 



発表報告2004年06月03日 (木) 16時29分 Web 掲示板投稿

 

 

文化論コロキウム B班報告書                                   2004/05/25
B班:高舘、伊藤、佐々木、北野、木村、昆

                         担当教官:菊地

テーマ:「なぜ今カバー曲なのか」

◆問題提起
 ここ数年、かつて流行した曲のカバーが話題となっている。過去にもカバー曲というものは存在していたのだが、近年特にリリースが連続している。このような現象が起こっている原因を考察していきたいと思った。

◆発表内容
 まず、カバー曲が最近注目されていることの例として着メロサイトのカバー曲部門新設の例などを提示した。そして「カバー」とそれに類する用語の辞書的な定義と補足説明を加えた。次に具体的な売り上げ枚数のランキングデータや、インターネットから引用したカバー曲に対する様々な意見をまとめたものを紹介した。

◇論点
 ・なぜ今カバー曲が話題になっているのか
 我々の考察→「曲の良し悪しよりも新曲の売り上げ低迷に対応するための販売戦略によるものではないか」

◆議論
 まず論点について、「話題になる」とは具体的にどういうことなのか、という質問が出された。それに対しては、テレビ等のメディアで取り上げられていることをあげた。我々は元々「売れている」と表現したかったのだが、カバー曲は数字的にさほど売れているわけではないことが分かったので「話題になる」という表現にした。ここで、「話題になっている」という表現が漠然としすぎて議論しづらいという問題点が明らかになった。
 次に我々の考察である「販売戦略」について、妥当な意見ではあるが、いつの時代にも販売戦略は存在しているので、もっと他の切り口で議論したほうがよいとの意見が出された。そして、古い曲がなぜ現代でも受け入れられているのか、その文化的要因を考察したほうがよいという意見も出された。ここで曲自体の内容に関する発言が増加した。
 ・曲の印象の強さ、どの世代にも「名曲」と思わせるものがあるのではないか。
 ・歌詞が単純でやさしく受け入れやすい→癒しを求める時代背景か。世の中に対して反抗的な歌詞の新曲→ノリのよい曲調ながらも愛や友情をうたった新曲→かつての単純でやさしい曲のカバーへ回帰なのだろか?
 …その具体例が提示できれば議論が進むのでは。→調査不足でできず。
 ・ノリがいいという理由の英詞が多い新曲に限界→(1)カバーは日本語の歌詞だから受けているのでは (2)ただし昔の曲なら何でもいいというわけではなく、演歌など完全に純日本風でもいけない (3)原曲のイメージとカバー曲のイメージが結びつきすぎてもいけない (4)原曲の発表者が現役で活躍していない(トリビュートを除く)
 ・戦略という面でも、単にメディアの現場などで番組を作る立場の人間=30〜40代以上の世代が、自分で聞きたい懐かしい曲を選曲する(例:ピノキオ/TVI)
 後半になって話し合うべき点が明らかになってきたが、論点に関する意見が二転三転し、あまり本格的な議論にならなかった。

◆反省・感想

 カバー曲について調べていくうちに突き詰めすぎて、結局は「売り出す側の販売戦略」というもっともな極論に行き着き、そしてそれに固執してしまった。自分たちとしてはある一つの意見として捉えてもらおうとしたのだが、かえって発言しにくい状況を作り出してしまったと感じた。
 また、話題が広がりすぎることを懸念して音楽についてのみに限定したのだが、もっとほかの文化的な背景も多く調べておけばより面白い議論になったとも思われる。改めて論点の設定の難しさと重要性を認識した発表であった。