平成17 (2005) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨 2005年06月03日 (金) 12時53分 Web 掲示板投稿

 

  

 6月9日のコロキウムは少女マンガ『NANA』についてやります。

 2200万部発行部数を達成したこの漫画が、なぜこれほどまで支持され、共感されているのか、
皆さんで考えてみましょう!
 そしてまだ『NANA』を読んでいない方は合研にあるので、ぜひ読んでくださいね♪

 

発表報告 2005年06月20日 (月) 16時26分 Web 掲示板投稿

 

 

文化論コロキウム D班報告書

テーマ:「少女マンガ『NANA』について」
発表日:2005年6月9日
発表者:石田賢介 漆舘智子 八重柏さゆり 石田亜紀子 藤村友紀 松岡知世
指導教官:山本昭彦

○発表内容と論点
 少女マンガにおける大ヒットだと言われる矢沢あいの『NANA』。なぜここまで売れたのか、ということに疑問を持ちテーマに設定した。
 まず、メディアで『NANA』がメディアで取り上げられる際に共通する記述と、矢沢あいが伝えたかったことを発表した。次に『NANA』のあらすじ、少女マンガの典型的な特徴を挙げた。論点として、「『NANA』のどこがリアルなのか?」を提示した。このことから今の若者の姿を読み取り、社会的背景について議論することを提案した。そしてD班がリアルで共感できるとして選んだマンガの場面の資料について説明した。

○議論の流れ
 まず質問に回答した。(質問→回答)
・「少女マンガの典型的な特徴を載せた意味は?『NANA』に当てはまらないということを言いたいのか?」→『NANA』にも当てはまることも、当てはまらないこともある。論点の一つとして話し合いたい。この回答の後、『NANA』こそ典型的な少女マンガではないか、という意見が提起され、議論が行われた。
・「『NANA』の対象は?」→雑誌は中高生対象である。20代の女性も多く読んでいる。コロキウム内のアンケートでも6割の人が読んでいる。
・「20代くらいの女性も少女と呼ぶのか?」→少女とは言えないのではないか。ここから、少女では理解できない「何か」を含んでいるのではないか。キャラクターの設定年齢が高い。20代の人などはキャラクターと同じように、仕事などでうまくいかないなど、共感しやすいのではないか、という意見が出た。

 そして、話し合いで出された意見は、『NANA』はリアルかという問いに
・『NANA』はリアルではない。
・共感はするが設定はリアルではない。(多数の意見あり)共感とリアルは別である。
・人間関係、感情表現の描写がリアルである、といった意見が出た。
典型的な少女マンガやほかのマンガとの比較については
・実際にあるたばこや店などが描写されている。日常生活と地続きでマンガの世界に入り込みやすい。
・台詞が多く、情報量が多い。
・一話ごとに意味深な詩が入る。想像力を掻き立て、読み返したくなる。
・絵や風景がきれいである。
・男性が読むマンガは主人公が強く、ライバルがいて絶えず闘争がある。マンガに共感を求めないことが女性とは違う。これに対して『スラムダンク』など共感できるマンガもある、という意見もあった。
・苦労からハッピーエンドへ、といった少女マンガ特有の構造は残っている。
ほかに、社会の背景として就職難やフリーター増加があり、中高生が対象というのも人気につながるのではないか、という意見が出た。
最後に、不況と価値観の多様化で不安が増大した若者の姿が読み取れる、というD班の考察を述べた。
 
○反省
 「リアル」という言葉が分かりにくく、議論の進め方が悪かったので社会的な背景について話し合うことができなかった。議論を終えて意見をまとめることができなかった。考察を先に述べたほうが議論の方向が明確になり、皆の意見が出やすかったかもしれない。また、当日の準備が遅かったことも反省すべき点である。