文化論コロキウム J班報告書
テーマ:ゆとり教育 発表日:2005年7月21日
発表者:澤田萌 菊池美穂 丸屋佑太 斉藤夕貴 高橋健 宮川一恵
指導教官:後藤尚人
■動機
今、日本の教育制度はゆとり教育という方針を採っているが、これからの日本の教育がどうあるべきかを話し合いたかった。
■発表の流れ
まず、ゆとり教育の流れを学習指導要領の変遷から概観し、学習指導要領の改訂による学力低下に対する論者たちの立場と考えを説明した。次に、国際学力到達度調査の結果から国際的に学力の高い国の教育制度と、よく日本と比べられる欧米諸国の教育制度がどのようなものであるかを大まかに説明した。
■論点
・日本はどの国の教育方針に学べばよいか。または、どこを直せばよいか。
・日本の学力は本当に低下したか。
■J班考察
・フィンランドの教育は、学習者の意欲を高めるのでよいのではないか。
・国際学力到達度調査の結果から、日本の学力は明らかには低下していない。
■議論の流れ
調べが浅く、レジュメに対する質問に答えられない点が多々あったが、他の参加者が答えを提示してくれる一面もあった。論点にある「学力」の定義は何かという質問は、議論上重要な点であったにも関わらず明確な答えを示すことが出来なかった。更に、ゆとり教育や総合的学習の時間が実施された意図や背景など、もっと詳しい情報が提示されなければ議論にならないと指摘された。
論点に対しては、「考える力」を問うような問題を出すように大学入試制度を改革する必要があるという意見や、フィンランドに学んで教師の質を高めるべきという意見が出された。
次に、学力低下を実感することはあるかを先生方に尋ねてみたところ、「学ぶ意欲は変わっていないが、学力低下を若干感じることもある」、「目立った低下はないが、生きる力の弱さを感じる」との答えがあった。また、「大学の場合、定員が変わらず学生数が減っているのでより下の層の学生が入学できるようになった」、「学力低下が深刻なのは文系よりも理系」、「学力が知識と同義ならば学力は低下している」、「ゆとり教育で生徒の格差がより広がった」との意見や、「フィンランドの制度に学ぶのは現実的ではない」との指摘もあった。
山本先生から「イタリアの中学校では成績を貼り出していたが、その背景には人間性と成績は別という考えがある。皆はこれをどう思うかを聞いてみればよい」と提案が出され、「成績を貼り出すのと貼り出さないのではどちらがよいか」挙手を求めると、貼り出されない方がよいという方が多かった。「貼り出した方がよい」理由として、それぞれが頑張った分が評価に表れる(到達度評価)なら、順位が分かった方がいいという意見があげられた。また、学習にどのような意義があるのか身近な例を用いて説明すれば意欲が高まるのではないかという意見も出された。
■反省
最後は時間が足りず、うやむやに終わってしまって残念だった。また、指摘されたように、テーマと発表にズレがあり、主張したいことが明白でなかった点が一番の反省点であったと思う。
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