文化論コロキウム E班報告書
テーマ:ホワイトバンド 発表日:2005年12月01日
発表者:高橋大門、大竹彩子、佐藤藍、小鹿茉衣子、駒形幸子、豊崎敬子
指導教員:海妻径子
1、問題意識
日本ではあまり普及していない意識啓発活動について考えたい。その題材として、今回、斬新なCMやファッション性などで話題となったホワイトバンド運動について取り上げた。
2、発表の流れ
最初にフロアにホワイトバンドのCMを見てもらい、ホワイトバンドを買うか買わないか挙手してもらった。そしてホワイトバンドとは何かを説明し、ホワイトバンド運動の活動理念や、これまでの運動の流れ、ホワイトバンドという貧困問題解消運動のシンボルについて説明した。また指摘されている点として、グラフを使い費用の不透明さを説明し、ホワイトバンドの製造・卸・広告など、プロジェクトの主要部分を担うサニーサイドアップに対しての、営利目的に使用しているのではないかという批判について(具体的には不透明な会計報告・不純な動機でのプロジェクトの開始・「ニセモノ注意」発言の三点)説明した。
次に、「募金を伴わない意識啓発活動」と「募金を伴う意識啓発活動」の例を挙げてそれらの活動内容について説明し、最後に、CMで有名人や海外セレブが起用されていることやゴム製のブレスレットが流行していたことを挙げ、それによって運動の目的が理解されていないまま、話題ばかりが先行してしまっていると説明した。
3、論点と考察
ホワイトバンド運動に賛同するか、という論点について、E班では、商品を介在させることによって、1)募金活動と思ってホワイトバンドを購入した人もいることから、目的が十分に理解されておらず、また2)話題が先行し、活動目的を理解していない参加者が増加したと考え、もっと活動理念等を十分に説明すべきだったのでは、と考察した。
4、議論の流れ
最初に班ごとに意見を挙げてもらった。賛成意見としては、サニーサイドアップが企業である以上、利益を追求するのは当然という意見や、目的が十分に伝わっていないとしても、お金がNGOに入るのなら構わないのではないかという意見が挙がった。この意見について、ホワイトバンドを持っているだけでも意味はあるのではないか、NGOに少しでも活動資金として渡るのなら良く、真の目的に過敏になり過ぎだとの意見も挙がった。反対意見としては、話題先行で本来の目的が伝わりにくくなっている、意識啓発活動とはいうが、それが成功しているかどうかは個人の問題なのでわかりにくい、という意見であった。
その他に、募金の場合それを必要としている人にまで援助が行き渡らないことがあるので、NGOに活動資金として渡るのはむしろ効率的では、という意見や、CMが誤解を招きやすいなど批判も多いが、それが問題になったことで注目され、貧困への意識も高まるのではないか、という意見が挙がった。また、このCMについて、CMを見て募金と思いホワイトバンドを購入したが、少し失敗したと思ったし、CMはテーマを伝えるのが最重要なので、広報・啓発活動として失敗だと思うという意見も挙がった。教員からは、政府はなかなか変わらないので、意識の面で国民から変えていく必要があり、その意識改革は有効な手段であるが、誤解を招くのは大問題であるとし、ホワイトバンドはきっかけに過ぎなくとも構わないという意見が挙がった。また説明責任について、E班がフロアに対し、目的を一番先に発表するべきではないかと質問したところ、ホワイトバンドを買うことがただのきっかけになればよい・NGOがもっと動けばいい・後から説明していくのも、当初の自分の目的を是正でき、その後のそういった活動への意識も違ってくるのでは、という意見が返ってきた。
5、まとめ・反省
まず反省点として、フロアから、レジュメの作りが反対寄りの立場であり、これでは賛成したくともしにくいという意見が挙がったので、まずはこの点を第一の反省点として挙げたい。E班では初めからこの運動はおかしい、としてレジュメの作りから発表の仕方まで考えてきたので、考えが偏りフロアに違和感を与えてしまった。また機材が使いこなせず時間のロスが多かったように思う。
議論としてはフロアから多彩な意見が挙がり、活発な方だった。発表する側としても、意見に対してうまく切り返して流れを作れたが、もう少し時間があればもっと違う視点からより内容を深められたのではないかと思う。今回ホワイトバンド運動を取り上げたことで、今後類似の活動に対する意識・見方が多岐にわたればこの上ない収穫である。
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