平成17 (2005) 年度「文化論コロキウム」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨 2005年12月09日 (金) 14時05分 Web 掲示板投稿

 

  

 12月15日のコロキウムのテーマは「NHK受信料をどう考える?」です。
 受信料の未払いが三割を突破している今、果たして受信料は今のままのあり方でやっていけるのでしょうか?
 不払い率が上昇を続けるその背景と現状を探っていきましょう。

 

発表報告 2006年01月18日 (水) 15時57分 Web 掲示板投稿

 

 

文化論コロキウム G班報告書

テーマ:NHKの受信料を考える
発表日:2005年12月15日
G班:桑原俊介、後藤さくら、駒井基男、鈴木明日花、平野祥子、松崎彩子
担当教員:後藤尚人

〈問題意識〉
 国内でテレビを所有する世帯にはNHK受信料支払い義務が生じるが、近年受信料の不払いが三割を超え社会問題になっている。そこで私たちは不払い率が上昇しているその背景と現状を探っていこうと思い、この問題を取り上げた。

〈発表の流れ〉
 個々の意識を明確にし、議論が活発になるように、受信料支払いに賛成・反対に分かれて着席してもらった。
 発表は、まず最初に問題提起をし、次にNHKの成立、受信料についての簡単な説明を加えた。その流れから受信契約数、事業収入総額、事業支出総額について資料を参照しながら解説した。受信料不払いの現状を知ってもらった上で、その不払い増加の原因の一つであろう一連の不祥事とNHKの対応について説明した。
 質疑応答では、国会(政治)とNHKとの予算面でのつながりに関する質問が多くでた。また、NHKと同じ公共放送であるBBC(英)の受信料徴収と不払い時の罰則について、また受信料がどういった場合に支払い義務が生じるのかなどの質問が出た。

〈論点と考察〉
 論点は「NHK受信料を支払うことに賛成?反対?」というものにした。NHKについての問題等に無関心な学生にも取り組みやすいものにしようと思い、この論点にした。議論に入る前に、支払いに賛成の人と反対の人に意見を聞いた。賛成の人の意見は、法律で定められている以上、支払いは義務であり賛成も反対もないというものだった。反対の意見としては、お金がないために不払い者に乗じて支払いをしていないというものが学生の中から出た。また、NHKの番組の質が果たして良いものであるかという意見も出たが、これに対してはNHKの番組には面白いものもあるし、質が良いというよりも幅広い番組や放送作りをしているという意味でNHKの放送を支持する意見が出た。
 また、受信料を払ったものにのみ通常の放送を行い非常事態が生じた場合だけスクランブルをはずすというような放送にしてはどうかと言う意見も出た。事業収入が減少し、番組の質が落ちるという反対意見もあったが、スクランブル化推進の意見も少なくはなかった。
 そして、早い段階からNHKの在り方や公共放送の在り方などへと議論が移っていった。NHKと政党とのつながりがある以上、真に公共放送を続けることは難しいという問題点が指摘された。それに対し、各政党で放送局を作るなどの別の放送システムを構成しないと放送局の中立性を保つことはできないのではないのかという意見が出た。
 G班が考える理想的な公共放送のかたちは国や政府と繋がらない中立公平な放送をし、国民すべての視聴を可能にし、視聴者の意見を反映できる放送である。こうした理想に近づけるためには国民一人ひとりがNHKに対して関心を持ち、積極的に関わっていくことが重要である。
 現在行われているNHKに対する抗議としての不払い運動は、受信料徴収に罰則規定がない日本独特のやり方であり、決して消極的なものとは言えない。だが、この方法には払わないで良いということに便乗するだけの何も考えない不払い者を増加させるという問題も抱えている。やはり理想的な抗議運動というものはイギリスのように受信料を払ったうえで、そのことに責任をもち、公共放送に対し厳しい目で批判を行うことであると考える。

〈反省〉
 賛否で分かれて座ってもらったのには、それぞれの立場から学生の意見を多く聞きたかったからなのだが、あまり学生からの意見を得ることができなかった。また、そのような意図からあえて論点を絞らずにいたが、最初または途中の段階でこちら側から問題点を絞ったほうが良かったと思う。問題点ばかりが出されて、それについて深く議論する場を提供できなかったことが一番の反省点だと思う。