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文化論コロキウムIII 9班報告書
テーマ 刑法39条
発表日 006年5月25日
発表者 高橋健、中川明香、高橋美生、油井智朗
担当教員 池田 成一
1.発表内容
●刑法39条の内容と現状について
●精神鑑定の種類と鑑定後の被疑者の処遇
●刑法39条の問題点とそれに関する反対論者の意見・擁護論者の意見の比較
●議論の争点
2.論点
?近年まで刑法39条の議論がタブー視されてきたのはなぜか。
?是非善悪を識別する能力が何らかの理由で欠如している人間が犯した行為について、その責任を
問うべきか、問うべきでないか。
3.議論の流れ
まず9班の考察として、刑法39条第1項に関してはそのまま残すべきであるという意見を述べた。確かに精神鑑定の問題や精神障害者の処遇の問題などは看過できないが、削除すべきではないとわたしたちは考え、是非善悪を識別することができない心神喪失者に責任を問うべきではなく、社会防衛的な観点から治療を優先すべきであると結論付けた。
発表後の意見・質問としては、「犯罪者全体における精神障害者の割合」、「刑法39条の心神喪失者の処置について」、「心神耗弱者の規定の問題」などが挙げられた。また刑法39条の廃止・存続問題に関しては、「廃止すべきではないが、第2項については改善の余地がある」、「39条のような法律は悪用される可能性があり危険である」、「39条を撤廃し、触法精神障害者の治療後に刑罰を科せばよいのではないか」という意見も出された。
また、わたしたちの考察の中では第2項に関する問題が述べられていなかったが、「むしろ心神耗弱の問題こそ議論される必要がある」という指摘を受けた。
最後に今回の論点から、精神障害者のような是非善悪を識別できない人間に刑罰を科すべきか、というところに焦点を当てて話し合ってもらったが、そこから『そもそも刑法とは犯罪行為を行った人間に責任を問うためにあるのか、それとも犯罪行為自体を罰するためにあるのか』という疑問が出された。
4.反省
精神鑑定など専門的な説明が多かったため、発表の内容が難しいものになってしまった。しかし、少なくとも刑法39条の存在を皆さんに知ってもらえたことは有意義なことだったと思う。今回の論点から刑法の目的にまで話を発展させるべきだったが、調査不足・時間不足のため議論をスムーズに進められなかった。また、あまり触れなかった39条第2項(心神耗弱)の問題については、これから改めて調べてみたい。
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