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文化論コロキウムIII 10班報告書
テーマ 沖縄基地問題2
発表日 2006年7月13日
発表者 下家美里、橋本幸、上野香織、阿部未華
担当教員 海妻 径子
<発表内容>
・前回出た質問に対する補足資料について説明し、その後に引き続き前回の論点を提示して、10班の論点を設定した理由とそれに対する考えを発表した。
<論点>
・沖縄と本土の関係性(「沖縄問題」解決のための連携のあり方)は、今後どのようにしていくべきか?
<10班の提案>
・沖縄の良い面ばかりをみない、「リゾート」イメージだけではなく、沖縄の現実を直視する。
・「問題」を学ぶための旅行をする。(旅行会社がプランを作る。沖縄の航空運賃を激安にする。)そして沖縄の歴史に対する理解と、現状の悲惨さを体験する。
<発表の流れ>
論点について、まず多くあげられたのは「かわいそう」という意識を持つことについての疑問、かわいそうではいけないのかというものだった。政治的問題や歴史を踏まえずにただかわいそうだと思うところに問題があると10班は主張したが、あまり理解を得ることができなかった。むしろ、歴史などを知っていてもかわいそうだと思うし、そう思うのが悪いのではなくて、そうとすら思わない無関心な人々が多いことが問題なのではないかという意見も出された。
沖縄と同じく米軍基地があるということで、青森県の三沢基地について青森県出身の参加者に話を聞いてみたが、何か事件があったときには一部の住民がデモを行ったりするが、大方うまくコミュニケーションがとられているとのことだった。沖縄との比較を試みようとしたのだが、やはり事件や問題の規模や深刻さは、沖縄は尋常ではないので、単純に比較はできないのでは、との意見も挙げられた。
それから10班の提案について、激安にした航空運賃は誰が負担するのかという質問がでた。10班ではその点について解答できなかったが、まず政府が負担することが考えられるという意見が出た。たとえば、東京?北海道間の航空運賃と同額にするなどのように価格を平等にしようと努力するのが政府の役割であって、こういうところを是正しないのは地方切捨てに通じるのではないかという意見もあった。
結局議論がまとまらないまま、やはり「かわいそう」というよりは「無関心」が問題であること、また、なぜ沖縄問題解決のための運動が全国レベルで展開されないのかといったら、それについて深く考えてしまうと自分たちにも負担や責任がまわってくるから思考することをストップしてしまうのではないかといった意見がだされて議論は終了となった。
<反省>
今回の発表でまず反省点として挙げられるのは、第1回と同じく、論点がわかりづらいということであった。沖縄と本土の関係性という論点をたてるにあたって10班では、「かわいそう」という意識に着目してきた。「かわいそうな沖縄をたすけよう」という本土の人々の意識と「かわいそうな私たちをたすけて」という沖縄の人々の意識の結びつきにより、沖縄は自立ができなくなっており、それを解消することが必要だという理由でこのような論点にした。この、論点の設定理由について前回の反省も踏まえ、前回よりも詳しく説明したつもりであったが、そもそも理由となっている「かわいそう」のいしきについての疑問が多く出され、それに対して十分な説明ができず、前回の反省が生かされない結果となってしまった。論点の理由を明確にできるような資料(「かわいそうな沖縄を助けよう」と「かわいそうな私たちを助けて」という結びつきにより、実際に起きている問題の具体例など)を用意できなかったことも問題であった。
また、論点に挙げた「関係性」をどうするかという問いかけが漠然としすぎていて議論がしづらいという指摘もあり、もう少し具体的なものにしたほうが良かったかもしれないと思う。
反省点の多い発表となったが、テロなどによる国際情勢の不安定さや米軍再編に伴う日本国内での米軍基地の整理、北朝鮮のミサイル問題など、私たちのおかれている現状を考えると、米軍基地が本土に住む私たちの生活にもより身近なものとなっていく可能性は否定できない。沖縄基地問題を考えることは、今後益々重要になるものと思われ、そのきっかけを作るという点では、良い発表になったのではないだろうか。この問題について私たちは今後も考えていくべきであると思った。
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