平成18 (2006) 年度「文化論コロキウムIV」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨 2006年11月07日 (火) 21時07分 Web 掲示板投稿

 

  

コロキウムB班のテーマは「Web2.0」です。
一度位はどこかで聞いたことのある言葉だと思いますが意味についてはよく分かっていないという人が多いのではないでしょうか?

今回はそうしたウェブ2.0について従来のインターネットと変わった面と、それが何を引き起こしていくか、をテーマに議論していきたいと思います。

 

発表報告2007年02月09日 (金) 17時25分 Web 掲示板投稿

 

 

文化論コロキウムIV B班報告書

テーマ ウェブ2.0は多様な情報社会をもたらすか
発表日 2006年11月09日
発表者 駒井基男、久保田歌織、伊藤晴康、小野寺真理、 谷藤荘起、山崎俊
担当教員 池田成一

1問題提起 Web2・0という言葉が広まっている。この言葉の意味は特定の技術やコンセプトが2・0ではなくて次世代のウェブを総称するものである。正確な定義を巡っては未だに議論がなされているが、ここでは「ネット上の不特定多数の人々や企業を受動的なサービス享受者ではなくて能動的な表現者と認めて積極的に巻き込んでいくための技術やサービス開発姿勢」という梅田望夫氏の定義を引用する。
 そうしたウェブ2.0についてウィキペディア、ブログ、そして大きな変化をもたらしたとされる検索エンジンの存在を例にとり、この変化がどのような変化をもたらすのかを考えたい。

2 論点 Web2.0は社会の情報の多様性をもたらすか。

3 考察 知的メディアの生産に多くの人が自由に、かつ容易に参加できるようになったことで、社会における情報の多様化を生み出す基盤はできたが、一方で検索技術によるパーソナライゼーションや、ブログがコミュニケーションツールとしてしか機能していない点を考えると、社会全体に関して言えば情報は多様化するが、個人レベルでは単一化した情報のみに触れることになり、島社会化が進む。

4 発表内容 不特定多数の参加者による発言と議論によって1つのものを作り出していくものの代表例としてウィキペディアを、そして同じような不特定多数からの書き込みが主役になるブログをあげた。共に容易に書き込むことができるという点で共通しているが、ウィキペディアと、ブログではその性質に違いが出てくる。前者が一つの記事に対して議論が行われ編集が続いていくのに対して、後者では記事を書く人と見る人でコミュニティが成立し、議論というよりもコミュニケーションが行われているという点で違いが出てくる。そうした二つの事例と、多くの情報の中から、ユーザーの求める情報を効率良く提供していこうという目的でできた検索エンジンの機能について説明した。

5 反省 発表の段階での不手際が目立った。検索エンジン等についての説明が要領を得ていなかったため議論が混乱した。ウェブ2.0とはそれぞれの個の変化の集積である事を理解しなければならない。オープンソースという場ができた事でブログ、ウィキペディアのような表現、議論の場が生まれた事と、検索エンジンという情報へのアクセスのシステムが生まれた事とは全く別の出来事として起こっている。問題はそれらが結びついた時、何が起こるかであり、ウェブ2.0社会とはどうなるかということである。多様な意見をウェブページに存在させ、そうした記事へのアクセス、探し出す事を検索エンジンは可能にした。また、数少ない記事であろうと、誰から発せられたものであれ全ての情報は等価値としてウェブ上に並べられる。そうした社会にある多様な情報が全て存在する場と容易なアクセスは社会に多様な価値感、情報をもたらす可能性がある。しかし同時に、そうした状況が逆の方へと向かう可能性もある。見たいものを見たいというユーザーの要望に応える事と、数少ない情報を他の情報と等価値で載せる場があることで極論の存在とそのアクセス、発信が容易になってしまい、閉じたコミュニティの中で極論が極論のままで残り続け、そこに出入りする人にとっては極論があたかも世論として認識されてしまうという可能性もある。そうした情報と検索の関係で生まれる状況について議論したかったがそこまで辿りつけずに終わったことは残念だ。