平成19 (2007) 年度「文化論コロキウムV」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨 2007年05月09日 (水) 22時10分 Web 掲示板投稿

 

  

コロキウムA班のテーマは「女性はなぜやせたがるか」です。

当日は、女性のみなさんはもちろん、男性の方も率直な意見をお聞かせ下さい。

 

発表報告2007年06月15日 (金) 09時49分 Web 掲示板投稿

 

 

文化論コロキウムV A班報告書

テーマ 女はなぜやせたがるか
発表日 2007年5月10日
発表者 阿部未華、木戸口裕香、土川育美、花井はるか、藤原奈央
担当教員 池田成一

1.発表内容
○女性はいつから痩せたいと思うようになったか?(歴史的観点)
「女の価値をはかる基準」は第一次世界大戦以降に変化しており、それ以前(20世紀
初頭まで)は豊満な肉体が“良い暮らし”の象徴であった。

○女性はなぜやせたがるのか(ジェンダー論・メディア論的観点)
 雑誌・新聞等での一般的な見方では女性がダイエットをする根本原因は女性自身の中に位置づけられているのに対し、淺野説では社会的圧力の結果と捉えられている。
 また、女性は様々なメディアから「生き方モデル」を学習し続けており、広告等によって自らの欠陥・コンプレックスに気づかされる構造になっている。

○考察
ダイエットに対する社会のポジティブな評価により、痩せた女性の身体は「定型化」される。女性はその体型を目標とし自らをコントロールして、美的価値だけでなく達成感や自信を得ようとしている。

2.議論の流れ
 「女性はなぜやせたがるのか」を論点に意見を求めたところ、服のサイズやデザインに体型を合わせるためではないかという答えが得られた。次に「男性は女性ほど痩せようとする傾向がないのではないか」という疑問に対し、男性は勤勉性・有能性を社会にアピールするために健康的な体型を保持しているが、女性はそれに加えて、男性から選ばれるという事実を通して社会に認められるという構造があるという指摘があった。一方、淺野説の立場では、女性が痩せようとする行為には(社会が期待するような)女性らしく生きたいという想いと、自律的・人間的に生きたいという相反するものの中から生まれるという話もあった。また、太っていることが好まれないのは平均像から外れるからであり、その時代ごとの美の基準を目指そうとするためであるという意見も聞かれた。

3.反省・考察
 発表の時点で、スリムの基準を明確にしていなかったために混乱があったことが反省点としてあげられる。
 発表を終えての班の考察としては、勤勉性と体型が結びついているということから、スピードや効率性が求められる時代が、女性がやせようとする行為に荷担しているように思えた。また、男女のやせ方の違いに関しては、女性が社会的圧力を受けているように、男性にも「男らしさ」の期待(痩せすぎを貧弱と見なし、たくましさを求めるもの)もあるだろうと予想される。現代の社会では、女性が体型をスリムに保つ行為をヴェブレンの代行的閑暇だけでは説明出来ない部分もあり、淺野氏とヴェブレンの指摘は両立するものなのではないだろうか。