平成19 (2007) 年度「文化論コロキウムV」発表記録
  

 

 

テーマ&要旨 2007年06月13日 (水) 13時09分 Web 掲示板投稿

 

  

テーマは「癒し」です。皆さんは「癒し」グッズをつい手に取ってしまったり、普段「癒されたいな」と思うことがあるでしょうか?90年代以降の流行現象である「癒し」が社会に浸透している現象を、どう捉えるかについて皆さんと話し合いたいと思います。

 

発表報告2007年07月12日 (木) 23時33分 Web 掲示板投稿

 

 

文化論コロキウムV F班報告書

テーマ 癒し
発表日 2007年6月14日
発表者 阿部菜央、菊池はるか、菅原まどか、西川奈々子 油井智朗
担当教員 池田成一

<論点>
 私たちが心の問題の原因から目を逸らさずに癒されるには、私たちにはどのような癒しが必要だろうか。あるいは、本当に私たちには癒しが必要なのだろうか。もしも癒しが必要でないとしたら、私たちはそれに変わる何を欲望するようになるのだろうか。

<議論の流れ>
・私たちは癒しが必要だろうか、必要だったらどんなときに必要か。という質問では、必要だという意見が多く、肉体的・精神的ストレス状態に陥ったときに癒されたいと思うようだ。その際にペットやグッズ、自然や温泉などで癒したい、カウンセリングなどに頼るなどして外部の助けを得るという方法と、余暇を大切にするなど自分の意識改革をするという意見が出た。
・昔は宗教によって癒されていたが、現在は家族が崩壊してきているから専門家に任せるといった風潮が強まっている。家庭に関する依存性が高まっているためストレスが発生し、無表情のキャラクターを求めてしまうのではないか。
・癒しが必要となる背景にはストレスが存在するのではないか。ストレス発生の原因として、理想と現実のギャップ、人間関係から発生する葛藤、物理的疲労などが挙げられた。この問題を解決するために、現実をしっかり見つめ長い目で先を見る、そして癒しなどでストレスを発散するという意見が出た。

<反省>
 癒しというテーマは取り扱いやすかったので、必要なときや対処法についての意見交換は活発に行うことができた。しかし、社会現象としての癒しに切り込みたかったのだが、私たちの資料不足と説明不足のため議論の進行がうまくいかず、個人的な意見に集中して活発な議論がなされなかった。心理学の専門的用語が一般に普及したために、例えば、誰もが自らの体験を「トラウマ」であると理解するようになってしまう心理学化という現象。この現象は、全ての問題の解決を個人の心理の内に見出そうとする危うさがあると指摘されている。このような心理学化という現象についてまで議論を深めて行く予定だったが、表面的な部分にしか触れることができず、F班自体の考察不足によって、議論を深く掘り下げることが出来なかった。