平成19 (2007) 年度「文化論コロキウムV」発表記録
  

 

 

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発表報告2007年06月25日 (月) 14時07分 Web 掲示板投稿

 

 

文化論コロキウムV G班報告書

テーマ 坂口安吾『堕落論』を読む
発表日 2007年6月21日
発表者 小松健太郎 蒔田信頼 阿部郁南子 戸松彩織 高平知実
担当教員 山本昭彦

○発表内容
1.安吾が主張する「堕落」とは何か?
2.坂口安吾について
3.「堕落論」と「続堕落論」について
4.G班が考える「堕落」の意味について

○論点
・安吾が主張する「堕落」の意味は何であるか。
・人間が生きていくためには「堕落」が必要なのか。

○議論の流れ
 第一の論点として、班ごとに安吾が主張する「堕落」の意味は何であるか、を考えてもらった。その結果、既存の価値観や制度を見直して、自分の生きたいように生きることが大切だと考える班が多かった。
 次に、班ごとに考えてもらった「堕落」をもとに、人間が生きていくためには「堕落」が必要なのかに議論を進めた。そこでは、制度や社会に縛られず、自分の思ったことや言いたいことを自由に表現できる事は必要だと言う意見や、皆が自由になりすぎてしまうと秩序が乱れてしまうから「堕落」はある程度に抑えるべきだという意見がでた。
しかし、安吾は「堕ちきることは人間にはできないだろうが徹底して堕落すべきだ」と言っている。
 ここで堕落は徹底すべきか、ある程度にすべきか、という新しい論点が浮上した。それについて議論してみたが、どの班でも徹底して「堕落」したら人間関係や社会の意味の喪失や犯罪が多発してしまう恐れがあるから、徹底した「堕落」はすべきではないという結果になった。

○反省・考察
 議論中に先生方から既存の制度や天皇制は誰がつくったのか、という指摘を受けたが、そこまで考えが及ばなかった。国民自身も戦争や天皇制を支持していた面があることを見逃していた。
 今回の議論を通して、坂口安吾の「堕落」とは制度や価値観の変革だけではないということに気づいた。彼はそれらに安住している国民に対して、自身も不合理な制度の片棒を担いでいないか、見つめ直せと問うているのだと私たちは考察した。