文化論コロキウムVI E班報告書
テーマ 「外国人力士」
発表日 2007年11月29日
発表者 高橋美生、戸松彩織、本間有華、及川美樹、藤原奈央
担当教員 池田成一
1.問題提起・発表内容
日本人の相撲界入門者減少に伴い、最近では外国人力士の活躍が相撲界の主流になっている。外国人力士の活躍が多くなってくると、外国人力士の土俵の外での礼儀や言動がしばしば問題としてとりあげられるようになった。外国人力士が相撲界に参入してきた流れや制度、協会側と外国人力士側それぞれからみたメリット・デメリット、一般人を対象とした相撲界に関するアンケート結果をレジュメで示し、外国人力士は日本相撲界に必要な存在なのか考える材料を提供した。
2.議論の流れ
まず、レジュメに対しての意見や質問の中に、国技という概念の位置づけについて挙げられた。E班では、古くからの歴史があるということから相撲を日本の国技と定義していることを示した。
この定義を含めた上での論点は「外国人力士は相撲界に必要なのか」である。外国人力士が必要であれば、日本人力士との共存の方法を考えてもらい、不必要であれば、日本人だけで相撲界を活性化させる方法を考えてもらった。
外国人力士が不必要であるという班はなかった。どの班も外国人力士は必要、またはいてもいいという考えであった。共存の方法としては、日本人力士を強くするような対策や外国人力士に対する体格の規制が主な提案だった。また、日本人入門者を増やすきっかけとしては、子ども会などの地域活動で相撲を身近なものにするというものもあった。その他、強い人を倒すことに国籍は関係ないという意見や外国人差別はするべきではないという広い視野での意見もあった。
また、論点の後に「日本人のプロ力士だけよる伝統としての相撲」と「外国人も参加可能なアマチュアスポーツとしての相撲」に分ける、という提案についていくつか意見を出してもらった。この二つに分けた場合、スポーツとしての相撲は成り立つかもしれないが、伝統としての相撲はやがて注目されなくなり、保てたとしても保存会などで細々と続けられる程度で、活気ある生きた伝統芸能ではなくなってしまうだろうという意見でまとまった。
3.考察
発表班の考察でも、外国人力士は必要であるという意見だった。相撲は伝統芸能であると同時に多彩な技による取り組みを楽しむものでもある。観客は楽しく面白い相撲を期待している。伝統にこだわり外国人力士を排除するのではなく、伝統も保ちながらも時代の流れによる変化をある程度受け入れ、日本人力士もしっかり育成し、偏りのない相撲界を目指すべきだと感じた。
4.まとめ
今回は、外国人力士について絞って準備を進めたため、相撲界全体のことをすべて把握しきれなかった。そのためレジュメや相撲界に関する質問に的確に答えられず、班で意見をまとめるときに苦労していたようだった。また、文化としての相撲についての議論をもう少し出来れば良かった。
しかし、相撲界は私達の世界とは少し離れた世界であると考えていたが、予想していたよりもそれぞれが相撲界に関する意見を持ち、外国人力士に対して肯定的なイメージを持っていることがわかった。
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