平成19 (2007) 年度「文化論コロキウムVI」発表記録
  

 

 

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発表報告2007年12月26日 (水) 10時42分 Web 掲示板投稿

 

 

コロキウムG班報告書

テーマ:「日本人の宗教観」
発表日:12月13日
発表者:油井智朗・小松健太郎・阿部菜央・菅原まどか・大道口傑
担当教員:杉浦直

1.問題提起
 現在では多くの日本人が「個人的には無宗教(特定の宗教の信者ではない)だが、宗教心は大切だ」と考えている。日本人は初詣に行き、お盆には墓参をし、クリスマスも祝う。この宗教的に多元的な日本人の宗教観とはどのようなものなのかをコロキウムで議論した。

2.発表内容
1)日本における宗教の歴史と現状 2)宗教をめぐる争点 3)論点 4)考察

3.議論の流れ
 レジュメに沿って発表し、その後論点に入った。日本人の多元的な宗教状況に関しての意見には、多くの宗教に寛容であることはよいという肯定的に評価する意見が出た一方で、宗教の本質を理解していない、形式だけのものになっているという否定的に評価する意見もでた。
 また初詣やお盆の墓参、クリスマスなどの宗教行事はイベントとして定着しており、宗教的意義を感じてそれを行う者は少ないとしても、そのような行事の際に家族や親族が集まることができるのだから意義があるという意見が多かった。まただれも墓参をしないようになったとしたら、そこに眠っている人を不憫に思うという意見もあった。

4.考察
 多宗教であることは、様々な宗教に対して寛容になることができるという点で評価できる。しかし宗教に対する無関心や理解不足なども現代日本人の特徴であると思われる。つまり多宗教的と言っても、宗教に対して無関心だからその存在を気にすることなく受け入れているというのが日本の現状であると考える。
 また現代日本人は宗教行事を「イベント」と捉えている傾向がある。コロキウムでは、そのような宗教行事は家族や親戚、先祖との繋がりを保つという意味で必要とされるという意見が多く出されたが、現代日本人の宗教行事は先祖に敬意を払うという意味合いが強く、宗教の本質である、神による救済や倫理規範などは希薄になっていると考えられる。
 さらになぜこのような現状にあるのかを考察すると、物質的に満足した生活を送ることができているから神に救いを求めるという考えが起きないということが考えられた。
 最後に今後の日本人の宗教状況はどうなるかということを考えると、先祖に敬意を払うという感情、そしてイベント的宗教行事(初詣やクリスマスなど)は今後も存続するだろうと考えられる。そして、先祖や家族などとの繋がりを大切にするこれらの宗教行事が日本人の宗教のあり方の基本であり続けるであろうと考える。